服の歴史と構成を織りなす要素として民族衣装を研究材料にし、
そこから得られる機能性や美を服に落とし込み多方面から表現しています。

BHUTAN

PLATEU

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FAUST-7
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Photo by 田村正義 Masayoshi Tamura

CITY

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Photo by 田村正義 Masayoshi Tamura

Gho(ゴ―)はブータンにおける男性用の民族衣装をさします。日本の着物と見かけはすごく似ている。しかしその共通点と言える前合わせは、日本と大きく違うのである。それは極端に「おはしょり」を大きく取り、荷物入れとして多用する所である。日本では袖の中に物を入れたり、懐に入れたりしますが、小さいものがメインです。ブータンでは大きめの駕籠やお弁当なんかも入れるのだ。そこで今回のコートには前に大きなポケットを作りました。さすがにお弁当を入れるほどの大きさはむずかしいので、手を入れて暖かくしたり小物を少し入れる程度の容量になっています。ゴーには付いていない外側のポケットも容量大きく付けられています。


 また襟は民族衣装でよくある直線裁ちでは無く綺麗な孤を描いています。生地を無駄なく使うため曲線の裁断はあまりしないのが多いのですが彼らの着る物はある意味贅沢にも曲線裁ちをしています。巾も広く夜寒いブータンの気候に合わせて首周りもしっかり風からガードしてくれます。また本来中に着るはずのテュゴの役割は推測するに汚れやほつれから本体を守るためという意味があるのではと考え、テュゴの代わりにの内襟が付いています。これは汚れだけではなく、生地を重ねることによる空気層を作ってより首周りのあたたかさを守る役割も果たします。また襟の真ん中にはゴ―にもそうなっているのですがステッチが1本入っていて内側に当て布がしてあります。これは襟の丈夫さを保持するものだと思われますがこれは洋服にする際も効果はあります。隠し台襟とでもいうのでしょうか。カフスはテュゴの折り返しが特徴的ですがそれをイメージした長いカフスを付けています。

 寒さ対策としてはおなじみになってきたダブルの前合わせは今回も健在です。首元から胸元、ウェストに至るまで二重三重に生地が折り重なっており外からの冷たい空気や風から守ってくれます。

 

全体のシルエットはシャープで有りながらも本来のゴ―の持つ美しさである腰から下の緩やかな広がりやウェストのシャープさは活かしつつ洋服のショールカラーコートともまた違う雰囲気を持つコートが出来上がりました。

Tego(テュゴ)とはブータンの民族衣装であるGho(ゴ―)の下に着る下着の事で、襟が大きく袖も長い。日本の着物同様直線裁ちでゴ―に比べるとかなり小さく作られています。着丈が短いのはゴ―の上から帯で締めるためです。

 なぜに襟が大きく袖がこんなにも長いのか。袖はゴ―を着た後にまくるため。襟もチラ見えしていますね。ではなんで襟がチラ見えしていて、袖はまくっているのかと。モンゴルの時は馬に乗るときの風除けとして使うためという事がありました。今回の東アジアで見かけるこの形。ブータンを調べていてなかなか答えが出なかったので、私なりの推測の話をしますと、おそらく一張羅であるゴ―の保護という理由が大きいのではないかと思いました。普段シャツやジャケットでも一番汚れる所はどこか。襟と袖口だと思いませんか。ほつれが一番早く来るのも襟と袖口です。ゴ―を作る生地は効果で手間のかかる生地です。それを出来るだけ永く着るための進化として内側のテュゴが進化したのではないかと、こう考えてみたのです。

 さすがにみなさんの持っているジャケットやコートに合わせてそれらの保護の為に使えるシャツと言うのはサイズの幅が広すぎて作れませんので今回はその特徴を生かしたシャツを制作する事にしました。

 

 前立ては通常の2倍以上に。前の合わせも必然的に2倍以上になります。夜寒いブータンの風から守るために前はダブルで。またさらに通常の2倍以上のスタンドカラーは、立てて着ても良し、折り返して着るも良しというバリエーションを楽しめるものに仕上がっています。また袖口は折り返しのカフス、ターンナップカフスでテュゴの折り返し部分とリンク。ちょっとカジュアルなドレッシーシャツのディティールとしてあるターンナップカフスはぱっと見の印象も他とちょっと違って面白みが増します。着心地の進化としてはヨークが裏表と4パーツに分かれそれぞれバイアスで取られていると言う所です。バイアスにする事で伸縮性が発生し肩の運動によるストレスがかかりにくくより動きやすく着心地の良いシャツに仕上がってます。また第4ボタンくらいまで開けてと襟をラペルのように折り返すと羽織のジャケットの用に着る事も出来ます。

キラはブータンの女性用の服の事指します。一般的に一枚の布をコマと言う留め具を使って体に巻き付けるだけの服と簡単な説明をするのは結構だが、これはそこそこに考えられた着方である。一説にはインドの近くと言う事もあり、同じく体に巻きつけるサリーを起源としているという説もあるがどうだろう。
 まず巻き方であるが下図を見ていただきたい。特筆すべきは各場所の重なりの枚数である。インドでは気候が温暖なため生地が薄い。薄い生地をたっぷり使ったドレープが美しいが、ブータンは高所と言う事もあり生地が厚い。ただ単にぐるぐると巻いてしまっては屈伸運動が出来ない窮屈な服になってしまう。しかし暖かさも確保しなければならない。そこでこの巻き方である。前と後ろが3枚に対して横は1枚と2枚。一度家のタオルケットなどで実践し見てほしい。ぐるぐる巻いた時とキラの巻き方をした時。動きやすさが格段と違うはずだ。特に彼らは農業を主とする生活を持っているので動きやすさは重要であろう。
 男性用のゴ―と同様、ウェストはベルトで締めておはしょりを作り、巨大なポケットとして活用する。おおよそ彼らの着るキラの布地は立派である。キラの布は専門の職人がいて幼少のころからその手に職を付け、熟年の職人へと成長するのだ。生地は時間のかかるものでは1年半もかかると言われる縫取織。トt3絵も繊細で緻密な骨の折れる作業である。ブータンでもかなりの高額である。日本で言う所の晴れ着くらいの価格と言ってもいいらいしい。実物は実に鮮やかで大胆で繊細である。

シンカはブータンの中でも古くからある服の形です。貫頭衣という原始的な構造の服で、簡単に言うと布に穴をあけて頭を通すという物です。古くは動物の皮で、進化を経て生地を作り服へ。しかしこのシンカという服に関しては全く単純な構造では無く、お祭りなどの祭事、神事毎に使われていたようでその装飾性には目を見張るものがある。特に脇にあるの三角部分のパッチワークや刺繍は本当に素晴らしい。しかしそこに目を奪われがちだがこの三角というワード。なかなかな物のような気がする。なにせ縫いづらい。またなぜ四角のパーツではダメだったのか。どうせ帯で結ぶのだから四角でボックスにしても良かったものを。そこは美しさなのか、成り行きなのか。以前民俗学を調べている人に言われた事がある。民族衣装においては機能性と言うよりもそれがそうであるから、みたいな事が多いと。要は判明していないと言うだけなのだろうけれど、判明させる事も出来ないと言う事も事実かもしれない。今のように何でも情報としてまとめようとか皆に読んでもらおうとか私はこんな事考えたんですとか知らせる必要性が無いですから。しかし結果として三角がある事が美しいと私は思っている。

 ドレスにおとし込むにおいてはこれほど機能性のあるような無いような服は無いのでほぼそのままである。面白いのは立体感が全くないので棒に掛けると一枚の生地のように見える事である。これは服なのかと疑うようなものであるが着用すると全く印象が変わる。頭が入る事によって前下がり、後ろ下がりを起点にドレープがかかり独特のシルエットになるのです。特に今回は帯で締めるようにはせず、そのドレープ感を以下割いて着ていただきたい。