

Photo by 田村正義 MasayoshiTamura
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CAMPERO JACKET
スペインの各地域ごとに特色のある衣服が存在するがなかでも特徴的なのがダブル、もしくはシングルのベスト、場所によっては長袖の着丈の短い上着と比較的細め のシルエットのパンツもしくはレギンスである。乗馬用の衣服として発展してきたものもあり、闘牛士のそれも同じ系列のものと考えられる。服の流行の発生地としても栄えた地域でもあるので、その民族衣装の多様性もその中から生まれたものではないだろうか。着丈が短いのは馬上における運動性を重視したものと思われる。今回のジャケットでは特徴的なデザインの立ち襟と前開きを生かしたものに。袖は湾曲させた作りながらも袖山を低く設定し袖の角度を浅くすることで動きやすさにつなげ。さらにAH周りにバイアスパーツを配置することで運動性を高めている。
OUT POCKET TROUSERS
スペインに限らず、ヨーロッパの各地にウェストベルトをする着方が多くみられる。中央アジア近辺でも見られるウェストベルト。おそらくはイスラム教とともに伝達してきた服装の一部と想像している。現代ではカマーバンドがその名残なのかなと考えるが、カマーバンドしかり、ジャケットの中につけている。アジア圏では着物を留めるための帯があるが、ジャケットの下につけるとなると、パンツ留めの役割か。調べてみた結果、ベルトは服を留める以外に収納という役割を持っていることが分かった。ベルトに短剣をさす。根付けをつかってひっかける。なんならベルトの中にそのまま物を入れるなど。---ポケットという考え方や機能が用いられている民族衣装は少なく、大体は別のバッグやポーチなどを持つというものが多い。ポケットの一般化に伴いベルトの収納という機能は徐々に薄れ
一部の職業の服に残っている程度になっている。そんな「ウェストベルトの収納」という話をしたいがために普段表に出ていないポケットという収納を表に配置したデザインを考案してみた。パンツの形状は太ももを動きやすく太めにしつつも裾は細めのすっきりとしたスラックス形状で両脇の袋布と後ろポケットの袋布をひとつなぎにしてみた。この特徴的なデザインをみるたびにウェストベルトの昔の機能をふと思い出してもらえたら。


FALT SHOLDER SHIRTS
ヨーロッパのシャツも、他の地域の民族衣装同様昔は直線裁ちをメインに考えられたものが多く、たっぷりと入れられた各所へのギャザーで運動性を保ち快適な下着として活用されてきた。そんな昔ながらのシャツの形状を活用しながらも今着れるシャツを模索したものに仕上げた。襟は大襟から生えた小さなウィングカラー風の返しで剣先を留めることで普段使いしやすくも特徴的なものに仕上がったと思う