服の歴史と構成を織りなす要素として民族衣装を研究材料にし、
そこから得られる機能性や美を服に落とし込み多方面から表現しています。

TIBET

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Photo by 田村正義 Masayoshi Tamura
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CHUBA COAT

CHUBAはチベットにおける外套の呼び名である。

革や綿、毛素材で作られており、形状は前合わせの服を腰ひもで縛り、腹部で端折ってゆとりを持たせて着る。着丈はひざ丈程度が多く、女性用はやや丈が長くくるぶし程度まであるものもある。特筆すべきはその袖の長さでこれはモンゴルの「デール」、ブータンの「ゴ」など地域的にも近いことからおよそ機能としては同じと考えられ、防寒であろう。寒い時は伸ばし、袖の中にすっぽり手を入れ込んでしまう。しかしすべてのチュバがこのように長い訳では無く、飽くまで外套としてのチュバがそれになるようで、より生活しやすいよう、綿や毛でできた薄めのチュバなどは袖丈は普通の物もある。毛皮のみで作られたチュバもあれば表が毛織物で内側が毛皮のもの毛織物のみのもの、綿織物のものなど気候や地域によって多様な種類がある。着方も独特で暑いときや動きをしやすくするために片方の袖から腕を抜いて肩を出し、その袖を後ろにぶら下げた状態で着る形や、両袖から腕を抜き、袖を腰で結ぶ着方もある。特に片方の肩を出した状態で着ている様は着崩しているようで面白い。

 シンプル形ゆえ様々な使い方もされており、上の写真では端折った懐に子供を入れて抱いている。襟は非常に大きく、首だけではなく後頭部まで覆うかのような大きさである。

右の写真は極端ではあるが、寒さをしのぐため首からさらに上までを覆う事で冷えないようにする。首を覆う事は非常に効果的で、毛皮ほどの厚さと保温性であれば尚の事である。 チュバを見て最初に思いついたのはイギリスのモーターサイクルコートとの掛け合わせだ。今回ベースをモーターサイクルコートにしてそこへチュバの機能性やシステムを入れ込んだ。ショールカラーのダブル仕様にして襟を高くすることで首回りの保温を。またチュバの長い袖は袖口のリブを長くとることで実現した。普段は折り返して、寒いときに長くする。フィンガーホールも開いているので手も使いやすくできている。またモーターサイクルコートの特徴である裾をボタンで留めることでパンツ仕様にすることができる。後ろ腰に大きめのタックをとっていることでゆとりもあり、元のコートよりパンツ仕様にしたときには着やすくなっているのではないだろうかまた背中に当たる部分は裏地をウール素材のものと合わせて2重にし、保温性を高めた。全体のシルエットはゆったりとしているが一度温まった空気を外に逃がさない仕様になっているため保温性に優れていいるコートに仕上がっている。また腰のベルトの締めや、裾のパンツ仕様への変更など着方も様々にアレンジすることができる為、飽きの来ないコートになっている。

​MUSCLE FFIBER LAYERED SHIRTS

織物は経糸と緯糸から成り、上下左右には糸が張られているので伸びはしないが、いわゆるバイアス、45度方向には伸ばすことができる。この特徴を生かして着やすい服を考えられないかという思いが常々あり、今回この企画にたどり着いた。筋繊維はその方向に伸縮する。例えば胸は横に伸びる。広背筋は腰から脇にかけて伸びる。僧帽筋上部は左右に。
その方向性を各所の生地の伸びる方向に生地を配置することで生地が突っ張らずよりスムーズな動きに、また体型の違いによる既製品の可動域の限度を広げることができる。
 MUSCLE FIBER LAYEREDは筋繊維方向切り替えとでも言おうか。メインは肩回り、肩甲骨周りだ。この周辺は個人差も大きく、背巾など胸囲によっても着心地がかなり変わる。実際に袖を通していただくと肩、肩甲骨周りのストレスがあまり感じないのではないどうろうか。
 ただ切り替えの入ったシャツというのも面白くないのでせっかくだから実験的なものを作ってみるのも面白い。また前立ての端を切りっぱなしにすることで全体のアクセントにしている。

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